Wednesday, December 20, 2006

コスタリカ旅行記(はじめの一歩)

初日の朝、暗いうちに目が覚めた。
 荷物を持って外に出る。ほとんどの選手はレンタカーを借りているので、自分の車で会場へ行くが、俺はレンタカーを借りていない。高いから。会場へはタクシーで行く。コスタリカではルーフラックが付いたタクシーが走っている。四駆を手配することも可能だ。迎えに来たタクシーはTOYOTAのハイラックスだった。
会場へ向かう途中、運転手のカルロスが指さして「ここがヘルモサだ。」と言った。
見るとものすごい波だ。8フィートはあろうかというバレル!血の気が引いていき、真っ青な顔で「ああ、いい波だね。」と答えた。どうしよう。事前の情報で12フィート以上あると聞いていたが、冗談だと思っていた。12フィートはなくとも、こんな波、死ぬよホントに。
会場のエステリオス・オエステというビーチに着くと、選手はまだ誰も来ておらず、ボランティア・スタッフが準備をしていた。波は肩くらいに見える。なんだ、大丈夫じゃないか。
「このくらいの波はコスタリカでは小さいほう?」ボランティアに聞いてみると
「まあ、ミドルサイズだね。」と答えてくれた。

昨日のうちにスーパーで買っておいたバナナを食べていると、ほかの選手もやってきた。ニール・カーンもやってきた。波を見て、
「パーフェクトじゃないか、なあショータ」
「うーん、でも少し小さいね。」
「小さい?」
何を言ってるんだという顔をしている。    甘く見ていた。後にこっぴどく「解らされる」ことになる。

第1ヒートの選手たちが練習を始めた。一人、ショートボードのような切れのあるカットバックをするやつがいる。イングランドのダーレン・ベーソンだ。すげぇ、これが世界のレベルだ。

第1ヒートが始まった。
俺もオレンジのゼッケンをもらって、海で待機だ。試合が始まると、対戦中の選手以外は競技エリアに入ることは許されない。

パドルアウトをはじめると、分厚いセットがやってきた。巻かれた。また来た。また巻かれた。何とかアウトに出る。全然小さくなんかない!!これは手ごわい。2度も巻かれたので、体力を少し消耗してしまったが、ヒートはすぐに始まった。第2ヒート開始のホーンが鳴ってまもなくセットが来た。俺のところに!「俺が行く」そうアピールすると、近くにいたイングランドのピーターは譲ってくれた。コスタリカで最初の波にテイクオフ。ボトムで思いっきりドライブする。波にパワーがあるので、伸びのあるターンができる。しかし、奥から来る選手が見えた。アイルランドのポールだ。俺の方がテイクオフが早いと思ったが、いきなりインターフェアを取られても仕方ないので、プルアウトした。その後、ピーターが波を捕らえ、その次の波がまた俺のところに来た。ほかの選手は波を取れるポジションにはいない。後からビデオをチェックしても、このヒートで最大の波だった。攻め切れなかったが、気持ちよくクルーズし、「いける」と思った。

しかし、その後はセットを捕らえられず、時間と体力だけが失われていった。ピーターとジオフはミドルからいい波を捕まえているようだ。歓声が上がる。
ホーンが鳴った。終了か。ホーンが鳴り終わるまでにこの波を捕まえよう。なんとか最後の力を出して波を捕まえたが、ボトムターンをすると目の前はクローズドセクション。しかしプルアウトするわけには行かない。プルアウトしてもポイントにならない。玉砕覚悟で突っ込む。見事に巻かれた。こっぴどく。溺れそうになるが、何とか生還。ビーチに戻ろうとパドルしていると、「ワンモア!!」の声がかかる。どうやらさっきのホーンは終了5分前とからしい。必死でパドルアウトし、小さいのを何とか捕まえた。
3本そろえるには、そろえたが、ポイントにはならないだろう。

結果が発表される前から敗北感でいっぱいだ。ビーチに上がるとみんなが「よくやった」と声をかけてくれたが、ダメダメなのは自分が一番良くわかっている。

ニールが寄ってきてた。

「ビーチで見てると、小さく見えたけど実際は大きかったよ。」
「昨日俺は、ここでパドルアウトするのに20分もかかったんだ。」
「でかいのをメイクしたかったんだけど、だめだったよ。」
「それでもお前は一歩踏み出したんだ。よくやったよ。」

ありがとう、ニール。そうだ、結果がどうあれ、とにかく前に進んだ。立っていようが、転んでいようが、とにかく進んだんだ。

結果は4人でのヒートで4位。3位のポールとはたった2ポイント差だ。ピーター、ジオフとは大きく離されているが、テイクオフをミスった2本をメイクしていればピーターといい勝負だったかも。そう思うと、自分の力を出せなかったことが余計悔しい。やはり大舞台で結果を出すには、もっと世界での経験が必要だ。 Posted by Picasa

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